医学部合格応援団◇息子のための英文法演習ブログ

ロンドン単身赴任の米国公認会計士が、息子のために医学部受験向けに英語を解説しています。

医学部予想問題 — ことわざ編の解説 2/3

ことわざの例題、いくつ解けましたか?

問題の解答・解説を書く際は、読んでくださる方がほかの参考書や辞書を開くことなく全文が理解できるように心がけています。今回も細かく説明していきますね。長いので、まずは最初の10問から書きます。

ことわざ予想問題にチャレンジされたい方は、こちらへどうぞ。

medicpress-harada.hatenablog.com

①No pain, no gain.

答え「虎穴に入らずんば虎子を得ず」

まず、painとgainが韻を踏んでいます。英語はリズムが大事な言葉で、不自然に感じるほど韻を踏むことが多いです。で、文本体を見てみると「painがなければgainがない」と言っています。pain=苦痛という名詞で、形容詞型はpainfulです。どちらも試験問題でよく出る単語ですから、押さえておきましょう。

gainは動詞なら「得る」、名詞なら「得る物」。つまり苦労しなければ(no pain)、何も得られない(no gain)。よって、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の意味となります。

 

同じく韻を踏むことわざで、Happy wife, happy life.というのがあります。ワイフとライフが一字違いで♪ハッピーライフ、ハッピーホーム、タマホーム♪のようなことわざです。happy wife = happy life、「つまり奥さんが幸せなら、自分の人生も幸せ」と言っています。ただ実はこれは、奥さんのご機嫌を取っておかないと、人生がみじめになるという裏側の意味でよく使われます。

なぜわざわざこんなことを言うのか?それは、西洋社会では女性がとても力を持っているからです。小さいころから男の子はレディーファーストを仕込まれ、女の子を大切に!と厳しくしつけられます。一方で、女の子の方が精神年齢が高いことが多いですから、幼稚園ぐらいから徹底的に男の子を尻に敷きます。

その構図がずーーーっと変わらず、男性は頼み込んでやっと結婚してもらえるんですね。そして、結婚してからもハニーだベイビーだ、記念日だ花束だと奥さんをちやほやしないと、すぐプイと腹を立てられてしまいます。企業戦士として戦って帰っても安らぐところがないとは、悲惨です。

同僚の男性陣を見ていると、気の毒になるほどですよ。どうして年収1500万も2000万もある男が、あんなに奥さんにペコペコするのか?日本もカカア天下の家が増えているといいますが、日本の高額所得者の家ではもう少しパパの権限が強いんじゃないかなぁ。西洋社会に比べると、まだまだ日本はかわいいものだと思ってしまいます。

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 ②Time flies.

答え「光陰矢のごとし」

これは聞いたことのある方も多かったかと思います。Time = fly、つまり時間は飛ぶように過ぎると言っています。timeは「あなたでも私でもない単数」で、かつflyが現在形ですから、3単現に引っ張られてflyがfliesと変形しています。

「太陽は東から上る」The sun rises from the east.のような自然の摂理をあらわす際は、文章は現在形にするというルールを覚えていますか。「時間というのは飛ぶように過ぎるものだ」というのは多くの人が感じる真実なので、現在形を使います。そして現在形を使うと3単現のsが登場するというわけです。

英語では、Time flies when you are having fun.と「楽しい時ほど早く過ぎる」という言い方をすることも多いです。誰かととても楽しい時間を過ごしたお別れの時にこの一言を言うと、楽しかったんだなぁという気持ちが相手に通じますよ。

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③Necessity is the mother of invention.

答え「必要は発明の母」

necessityの形容詞型はnecessary、さらに簡単な動詞型はneedです。つまり必要であるということ。inventionは発明ですね。inventor発明家、invent発明するも一緒に覚えてしまいましょう。

necessityもinventionもあまり難しい言葉ではないので、どちらかが分かったから解答できます。 

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④The pen is mightier than the sword.

答え「ペンは剣より強し」

これは日本語が韻を踏んでいるケースですね(ペンと剣)。人の心を動かすのは暴力や圧政ではなく、心に訴える議論だという美しいことわざです。

mightyはstrongとほぼ同じですが、このことわざ以外では見かけません。thanがあるので比較級だと分かると思いますが、mightyのyがiに変わってからerが付くという変化球なので、「形容詞を正しい形に書きえ換えなさい」という問題に使われる可能性があります。

背景にある文法は、yで終わる言葉の前が子音(a, i, u, e, o以外)の場合はyをまずiにするという大きなルールです。たとえば問い②で出たfly→fliesもそうですね。

・泣くcry→cries

・挑戦する try→triesもこのルールに引っかかります。

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⑤Easy come, easy go.

答え「悪銭身につかず」

Easy come, easy goは B’zの歌のタイトルとして知っている方もいるかと思います。「簡単に手に入ったものは、失うのも早い」。つまり「悪銭身につかず」です。

どうしてラブソングのタイトルになるのか、ちょっと不思議かも。

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⑥When in Rome, do as the Romans.

答え「郷に入れば郷に従え」

二節目はdo as Romans do. とすることもあります。「ローマにいるならローマ人のように振舞え」、つまり「郷に入れば郷に従え」ということです。昔はローマ帝国が世界の中心でしたから、こういうことわざが出来たのでしょうか。

 

つい2日前、似たようなケースがニュースになっていました。オランダで移民がバスの運転手になろうとしたのですが、イスラム教徒で「女と握手することはできない」と拒んで職を得られなかったそうです。これなどは、郷に従わず損をしたケースですね。イスラム教では男女を厳しく分けますから、知らない女性の手を握るなど汚らわしいという考えだったのかもしれませんが、西洋社会では握手は最低限の礼儀ですから受け入れられません。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170124-38727822-bbc-int

これをネタに、さらなる移民差別をあおる首相もどうかと思いますが…。 

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⑦Out of sight, out of mind.

答え「去る者は日々に疎し」

これは前に帝京大学医学部の予想問題として出題しました。解説は1/20掲載の第2問をごらんください。

帝京大学医学部の予想問題 ー 文法の解説 1/2 - 医学部合格応援団! 〜過去問から予想問題を作成〜

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⑧The grass is always greener on the other side of the hill.

答え「隣の芝生は青い」

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英語では「丘の反対側は、草がより緑だ」と言っています。内容的には「隣の芝生は青い」と同じです。

草はgrass、ガラスのコップはglassで似ていますので、気をつけましょう。日本人は自然にrとlの発音を区別することができませんので、間違いやすいポイントです。

 

rとlの混同例には、ほかにも

red「赤い色の」とlead「(形容詞)灰色の、(名詞)鉛」

rice「お米」と lice「シラミ」

・erection「勃起」とelection「選挙」

・gray「灰色の」とglay「北海道出身の大御所バンド」

など、誤るととんでもない意味になってしまう言葉がありますから、気をつけてください。

ちなみに色のgrayは、greyでも同じ意味です。aを使う方のgrayは、アメリカで多く使われる傾向にあります。

 

on the other side of~は「〜の反対側」という意味です。ここで気をつけてほしいのは、the otherという言葉。another, other, others, the other, the othersなどいろいろありますが、区別をしっかりつけておかないと、頻出する文法問題で点を落とすことになります。

基本的な形はotherで、「ほかの」という意味です。これに単数を表すaを足してanotherになると、○○○●の●ように、複数ある中の1つを指します。

一方でothersになると、○○○○●●●○○ようにタイプ違いが複数あり、それらを漠然と指します。この漠然と、というのがtheのついた場合との決定的な違いです。

「自分がよければ他人がどう思おうとかまわない」は、

★I don’t care what others would think so long as I am happy.

と書きます。careは「〜を気にする」という動詞、othersは他人全般を漠然と指します。so long as~は「〜でさえあれば」という意味で、as long asと書いても同じ意味です。

難しくなるのはtheがついた場合。the otherという場合は、対象は2つしかありません。つまり丘のこちら側と向こう側は、this sideとthe other sideです。

the othersという風に複数形になると、「自分以外のすべて」を指します。othersが漠然とその他を指したのに比べると、the otherやthe othersは「自分以外のすべて」を指す限定的な言い方です。

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⑨A picture is worth a thousand words.

答え「百聞は一見に如かず」

○○ is worth xxで、「○○にはxxの価値がある」という意味となります。pictureは、絵や写真などいくつもの意味があります。A thousandは1000。「1000文字分の説明を聞くより、1枚の絵の方がよく伝わる」、つまり「百聞は一見に如かず」です。如くというのは古い言い方で、「○○に勝る」という意味です。 

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⑩The early bird catches the worm.

答え「早起きは三文の得」

The early birdは、早起きをする鳥という意味です。「早起きをする鳥は虫を捕まえる」、つまり朝型推奨のことわざです(笑)。

ここでも出ました、3単現のs。The birdで鳥一般、the wormで虫一般を指していますが、どちらも複数形ではなく単数形、かつ文章が現在形(なぜなら真理だから)ですから、catchが引っ張られてs付きとなっています。

気をつけないといけないのは、hの後に3単現のs、複数形を表すsをつける場合は、eを入れてからというルールがあることです。

・教会 church → churches

・衝突する crush → crushes

・桃 peach → peaches

などですね。