医学部予想問題 ー 会話文の解説 5/5
天気予報どおり、雨がちで温かい1週間になっています。足元はさすがに冷えますが、歩いて20分の会社に行く途中でコートを脱いでしまうぐらい、気温が上がっています。
ロンドンは霧の都と呼ばれるだけあって、濃霧注意報が出るような日は2メートル先もろくに見えないぐらい空気が白濁します。この半年で3度ほど、そういうことがありました。バスの運転手さんとか困るだろうなぁ。
それでは会話編の解答・解説の最終回をお送りします!
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第3問
A: Hi, did you receive anything for me?
B: Yes, ma’am. I received a parcel for you. Please sign here.
選択肢
a: post man & his colleague 「郵便屋さんとその同僚」
b: dog trainer & owner「犬の訓練士と飼い主さん」
c: cleaner & his boss「清掃業者とその上司」
d: concierge & resident 「コンシェルジュと住人」
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A: Hi, did you receive anything for me?
「こんにちは。私のために何か受け取った?」と聞いています。この地点で選択肢はおおむねaとdに限られましたね。
B①: Yes, ma’am.
「はい、奥様」と返事をしています。これが男性相手であれば、Yes, sir.となります。普通はこれほどかしこまった話し方はしませんが、高級ホテルや芸能人御用達マンションにいるコンシェルジュは、相手を立てて大仰な話し方をします。ということで、正解はdですね。
conciergeは元がフランス語です。水色のボタンを押すと、オックスフォード大学監修の英英辞典に飛びます。発音は確認しておきましょう。
・lingerie「女性用下着、ランジェリー」
・brassiere「ブラジャー」
・masseur「マッサージ師」
などもすべて、フランス語が英語になったものです。
妙なところにierやeurが入っていて、綴りが英語よりくどいです。シルエットsilhouetteなども元はフランス語ですね。なんかエロそうな単語ばかりですが、そこはほらフランス人ですから。そんなものです(笑)。
B②: I received a parcel for you.
さて例文に戻って、「小包をお預かりしておりました」という文です。宅配便の受け取りはコンシェルジュの大事な役割です。for you「あなたのために」に似た、on your behalf「あなたの代わりに」もついでに覚えておいてください。
B③: Please sign here.
最後にコンシェルジュが「こちらにサインをお願いいたします」と言っています。
受領書などにサインをする時は動詞signでかまいませんが、大好きなアイドルにサインをお願いする時は
★May I have your autograph?「サインをいただけますか?」
という言い方になるので、注意してください。
あとアイドルとは初対面でしょうから、いきなりPlease〜で文を始めて要求するより、May I〜とお願いするのが適切です。
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第4問
A: Have you printed all the materials?
B: Yes, six copies each as instructed.
A: And stapled separately?
B: Yes, all set.
選択肢
a: boss & staff 「上司と部下」
b: station master & passenger「車掌さんと乗客」
c: pharmacist & customer「薬剤師とお客さん」
d: nurse & patient「看護士さんと患者さん」
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A①: Have you printed all the materials?
Have + 主語 + 動詞の過去分詞形で「~し終えたか?」という現在完了形の疑問文ですね。動詞はprintですから「~は印刷したか?」と聞いています。では何を印刷したかというと、目的語はall the materialsですから、「資料全部を印刷したか?」というのが全体です。
このように英語は、とにかく前からどんどん理解してください。数をこなせば、次にどんなことを言いそうか、続く言葉は単なる修飾語なのか大事な目的語なのか、などが自然と分かるようになります。以前も書きましたが、英語は単純な言語で分かりやすい構造だからです。
言う時も書く時も前から順々に足していく印象で、かつ結論である動詞が早い段階で出ます。一段落分も長く語った上で「~ではない」といった全否定が可能な日本語とはずいぶん違います。
B①: Yes, six copies each / as instructed.
この例題は、たくさんの言葉が省略されています。Bさんの返答は、フルで書くとどうなるでしょう?
Have you?で聞かれているので、Yes, I haveまたはNo, I have notで答えるのでしたね。
★Yes, I have printed six copies each as instructed.
が正しいです。6部印刷したようです。eachが入っていますから、「それぞれ6部印刷しておきました」と解答しています。つまり関係性は、上司と部下ですね。正解はaです。
as instructedの前に区切りを入れてみました。ここも実は省略されている主語と述語があるのですが、分かりますか?just as you instructedです。「(上司であるあなたに)指示されたとおり」という意味です。普段はフルで書いたり言ったりはせずas instructedで使います。
ただ元の構造を知っておけば、「省略されている語を補いなさい」のような問題が出た時にあわてずに済みます。
A②: And stapled separately?
この文も省略されています。
★And have you stapled the materials separately?
がフルの書き方です。つまり「で、資料はちゃんと分けてホチキスで留めたか?」と確認しています。
前に外来語の解説をした時にも書きましたが、ホチキスはホチキスさん発明で間違いないですが、英語ではstaplerといいます。「ホチキス留めする」という動詞はstapleです。stapleすることができる物がstaplerです。driveできる人がdriver、playできるものがplayerと呼ばれるのと同じですね。
B②: Yes, all set.
最後です。これをフルで書くと
★Yes, all the materials are set.「はい、資料は全部準備できています」
となります。ヨーイドンを英語で言うと、
★On your mark, set, go!「位置について、用意ドン!」
です。髪をセットするとも言いますね。つまりsetとは「(準備などを)整える」という意味のある動詞なのです。
活用は分かりやすくset – set – setで、put – put – putと同じです。
Yes, all setの場合は、3つのセットのうち、現在形・過去形・過去分詞形のどれでしょう?セットするのは人ですね。資料は「セットされる」側ですから、受身形つまり過去分詞形のsetです。