医学部合格応援団◇息子のための英文法演習ブログ

ロンドン単身赴任の米国公認会計士が、息子のために医学部受験向けに英語を解説しています。

日大医学部の予想問題 ー 麻薬関連記事の解説 3/4

第7文は少し複雑で長めです。最初から読むにはこちらです。

medicpress-harada.hatenablog.com

第7文: The U.S. Drug Enforcement Administration (DEA) called Chinas move a potential game-changer that is likely to have a big impact in the U.S., where opioid demand has driven the proliferation of a new class of deadly drugs made by nimble chemists to stay one step ahead of new rules like this one

 

構文としてはまず「米麻薬取締局は、AをBと呼んだ」というのが大枠としてあります。Aに該当するのがChina’s move「中国の動き」で、Bに当たるのがa potential game-changer「決定打になる可能性のあるもの」です。さらにその後で、game-changerたるその決断がアメリカに大きな影響を与えそうだと続き、米国の現状に関する説明が書かれています。

 

下線部のthis oneは、問6でしたね。

Q6. In section 7, which of the following does “this one” mean?

第7文にある”this one”に該当するものを選びなさいと言っています

a. Using carfentanil as a chemical weapon

b. Seizures of carfentanil or similar drugs in the U.S.

c. Using carfentanil to put elephants to sleep

d. Banning carfentanil and its cousin opioids

 

では、少しずつ読んでみましょう。

★The U.S. Drug Enforcement Administration (DEA) called / 米麻薬取締局は、AをBと呼んだ

A. China’s move / 中国の動きを

B. a potential game-changer / 決定打となる可能性のあるもの

that is likely to have a big impact in the U.S., / アメリカに大きな影響を与える可能性が高い(game-changerだと)

where opioid demand has driven the proliferation of a new class of deadly drugs / (アメリカでは)麻薬の需要が高いため、新種の致死性のあるドラッグの拡散を招いている

made by nimble chemists /(そしてそうした致死性のあるドラッグは)すばしっこい化学者によって作られている

to stay one step ahead of new rules / 新しい規制より一歩先を行くために

like this one. / 今回の決定のような

 

このように、this oneは今回の中国政府によるカルフェンタニルの禁止を指します。よって正解はdです。

第7文からは、カルフェンタニルやその類似品でアメリカで多大な被害が出ている様が伺えますね。

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続く第8文も、主語と述語が少し離れています。動詞はどれか分かりますか?

After China controlled 116 synthetic drugs in October 2015, seizures in the United States of compounds on that list plunged. 

正解はplungeです。「数値などが大きく落ち込む」という意味の動詞です。そしてAfterで始まる部分はただの修飾節で、seizuresが主語です。これは「心臓発作」という医学部受験者必須の意味に加え、「差し押さえ」という意味もある名詞です。ここでは麻薬取引の話ですから、差し押さえの意味で使われていますね。

 

次の文には、歴史的背景が書いてあります。 

★After China controlled 116 synthetic drugs / 中国政府が116種類の合成麻薬を禁じて以降

in October 2015, /  2015年10月に

seizures in the United States / アメリカ国内での差し押さえは

of compounds on that list / その禁止リストに載っていた調合物の(差し押さえは)

plunged. / 大きく落ち込んだ

 

このように以前も中国の麻薬規制でアメリカが助かったことがあり、今回の中国によるカルフェンタニル類の規制も、また米当局が歓迎しているわけです。

 

ここで問1を見てみましょう。

Q1. According to the passage, which of the following is FALSE about carfentanil?

「例文によると、カルフェンタニルに関する以下の文章のうち誤っているものはどれか」 

a. It is an extremely powerful opioid that should be controlled in the U.S. 「カルフェンタニルはとても強力な麻薬なので、アメリカでは規制されるべきだ」

b. If used in a right manner, carfentanil can be a safe medicine. 「正しく使えば、カルフェンタニルも安全な薬たりうる」

c. It is so powerful that a very small doze can kill a person and thus can be a real hazard to the society. 「カルフェンタニルはあまりに協力なため、ごく少量で人を一人殺すことが可能である。よって、社会にとって真に有害になりうる」

d. Chinese government should ban carfentanil so that it will not do further damage to the U.S. 「中国政府はカルフェンタニルを禁止し、これ以上アメリカに害が及ばないようにすべきだ」

a, c, dはいずれも、ここまで読んだ内容から正しそうと思われますね。これは誤った説明文を選ぶ問題ですから、正解はbです。

 

続く第9文と次の第10文も、米麻薬取締局員の発言です。 

★"It's a substantial step / 「これは大きな進歩だ

in the fight against opioids / 麻薬との戦いにおいて

here in the United States," / ここアメリカにおける」

said Russell Baer, / とラッセル・ベアー氏は言った

a DEA special agent in Washington./ ワシントンの麻薬取締局特別エージェントの

 

★"We're persuaded / 「我々は確認している

it will have a definite impact.” / これ(つまり中国のカルフェンタニル禁止)は決定的なインパクトを持つと」

 

第10文のsubstantialは、問7で設問になっていました。

 

Q7. In section 10, which of the following is NOT a synonym to the word “significant”?

significantと同義語でないものを選ばせています。

  1. a. major 主な
  2. b. little 少ない、小さい、ほとんどない
  3. c. considerable かなりの
  4. d. material 大量の、重要な

 significantは「重要な」「相当量の」といった意味の形容詞で、固くて上品な言い回しなので、論文ではよく出ます。選択肢はbのlittle以外はどれも「大きい」に近い意味ですから、正解はbです。