センター予想問題 — 問3Aの解説後編
会話文の空欄補充問題、今日は2つ目の解説です。問2は、ピーター君がスーザンさんを励ますという会話文でした。予想問題本文はこちらです。
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Peter: Hey, Susan. Have you finished your exam? How did it go?
Susan: Don't even ask... Math was impossible and I couldn't even finish it. Really worried about the grade as I may fail it this time.
Peter: Well, ③ what can we do now? Stop worrying about it and move on, shall we?
選択肢に罠があります。
① no point crying over a spilt milk./ 覆水盆に返らず、だよ。
② let's go get some lunch./ ランチにでも行こう。
③ what can you do now? / もうどうしようもないよ。
④ I am glad to hear that you did great./ よく出来たと聞いて、僕もうれしいよ。
内容はバラバラですが、英語が上級の人は①の意味が分かってそれに引っかかってしまったかもしれません。なぜこれがダメなのか、1文ずつ見ていきましょう。
まず最初に読むべき空欄部分のすぐ次の文では、Stop worryingと言っています。何かスーザンが心配しているということが分かりますね。
Peter: ピーター
★Hey, Susan. Have you finished your exam? / やあスーザン。試験は終わった?
もう終わったか尋ねる現在完了形の文です。
★How did it go? / どうだった?
How was it?やDid you do well?でもほぼ同じ意味です。
Susan: スーザン
★Don't even ask... / 聞かないでちょうだい。
何かを聞かれて「うぅぅ、つらかったよ」という気持ちを伝えるフレーズです。
★Math was impossible and / 数学がとにかく難しくて
I couldn't even finish it./ 最後まで解けなかったの。
何かが特別難しかった場合、「不可能だ」という形容詞impossibleを使ってこのように言います。しかもevenも入れて「最後まで回答することさえできなかった」と強調しています。
★Really worried about the grade / すごく点数が心配。
as I may fail it this time./ 今度こそ赤点かもしれないから
gradeは名詞「成績」ですね。数学の点数に限って心配していますから、a gradeではなくthe gradeと冠詞は特定のものを示すtheを使っています。
failは「失敗する」という動詞ですが、ここでは「落第する」「Fを取る=赤点を取る」という意味で使っています。Fはfailのfです。でっかくFと書かれた答案用紙が返って来たら、追試や落第の危機です。
mayもこれまで何度も出て来ました。「~かもしれない」という助動詞で、shallやwillに比べ、ぐっと実現可能性は低いです。これより実現可能性が低い言い方としては、mayの過去形mightになります。可能性の低い順に並べると、might < may < would < will < should < shallです。
Peter: ピーター
★Well, what can we do now? / そうか。もうどうしようもないよ。
これは何度か紹介してきた、It is what it is.「仕方ないね」という言い方に似ていますが、もっと優しいです。What can we do now?という疑問文で「今、何ができるだろう?」という形は取っていますが、答えを求めているわけではなく「いや、もう何もできない」と自己完結する反語的な表現です。
ここで選択肢①に戻ってみましょう。
(There is) no point in crying over spilt milk.「覆水盆に返らずさ」
と言っています。There is no point in crying over spilt milk.はことわざで、「こぼれたミルクのことで泣いても何にもならない」つまり「覆水盆に返らず」という意味です。なぜこの選択肢がダメかというと、傷に塩を塗り込むような言い方だから。
このことわざを知っている人は、ついこの選択肢を選んでしまったかもしれません。ただしもう少し読み進めると、もう少し柔らかい表現のwhat can we do now?を見つけ、こちらの方がより適切かなと分かります。
ちなみにもっと傷つける表現には、You asked for it.「自分で望んでそうなったんだろ」やServe you right.「ざまみろ」などがあります。
ただしピーターは優しく、次の文でスーザンを励ましています。
★Stop worrying about it and / これ以上心配しないで
move on, shall we? / 前向きに行こうね?
~, shall we?は文章の後につけると、Let's ~と同じ意味となり、「~しようよ」と誘う言い方です。
move onは「先に進もう」「未来を見よう」という良い表現です。覚えておきましょう。「くよくよすんなよ」というもう少しきつめの言い方には、Suck it up!という言い方もあります。「我慢して飲み込め。そして前を向け」という意味ですね。鬼コーチの例文の時に紹介したMan up!に似ています。
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どちらもupを使うのが面白いです。Step up!もそうですが、「あごを上げて前に行くんだ!」という励ましの気持ちの表れでしょう。日本語でもアゲて行こうと言いますから。
ロンドンはまだ金曜日、こどもの日の午後7時です。今日は祖母の27回忌で、会社を休みました。母親代わりだった祖母が亡くなったのは、高校生の時。前年の末から入院はしていたものの、ゴールデン・ウィークには外泊させようみたいな話もあっただけにショックが大きく、立ち直るのに何年もかかりました。
今年は出張がなかったから休めたけど、来年のこどもの日はどこの国で何をしているのやら。出来れば日本に戻っていたいけど、もしそれが無理でも出張はありませんように。
祖母の命日は家に居て、大好きだった祖母と、祖母がかわいがったおかげで心正しく育った妹のことを思う日にしたいのです。