長文読解問題 ─ テクノロジー関連記事の解説 1/3
ブロックチェーンという新テクノロジーについての出題でした。予想問題本文はこちらです。
medicpress-harada.hatenablog.com
インターネットが本格的に家庭にまで入ってきたのは、私が大学生の頃ですから20年以上前です。今回ご紹介したブロックチェーンは、それ以来の大変革になるのではといわれている技術です。
何がそんなにすごいのか、問いに対する答えと一緒に見てみましょう。
★The term “trust” and “cyber technology” are not often used / 「信頼」と「サイバー・セキュリティ」という言葉は、使われることが少ない。
in the same (A-1) sentence. / 同じ文の中で
ネット情報は匿名のものが多いですし、スキあれば他人の情報やお金を取ろうとする輩がうようよしています。そういうことから「ネット=安全」という公式は残念ながら成り立ちませんね。
これをブロックチェーンが変える!というのが、この記事全体の主旨です。マジで?という感じですが、マジなので今ブロックチェーンが熱いのです。
in the same sentenceは「同じ文脈の中で」というイディオムで、言い換えるとin the same breathです。直訳すると「同じ息の中で」、つまり「同じ文脈内で一緒に」という言い方です。in the same contextでもOKです。
breathは名詞「息」ですね。short of breathで「息切れがする」という言い方もします。動詞はbreathe。末尾にeが付き、発音が全く違ってきますので注意してください。オックスフォード大学監修の辞書で確認しましょう。リンクを開いて青いスピーカーのアイコンをクリックすると、発音が聞けます。
breath - definition of breath in English | Oxford Dictionaries
breathe - definition of breathe in English | Oxford Dictionaries
下線部A-1の他の選択肢は、いずれも名詞で以下のような意味でした。書けなくてもいいですが意味は知っておく必要のある単語です。
- collateral「担保」。アクセントはllaにあります。
- controversy「言い争い」「論議」。quarrelが個人間の言い争いなのに対し、controversyというと国を二分するような大きな議論のことを指します。
- betrayal「裏切り」。アクセントがraにあるので注意が必要です。
★The past year has seen an onslaught of cyber hacks, / 昨年はハッキングが猛威をふるい
forcing everyone to question security on the web./ ウェブ上でのセキュリティについては皆が考えさせられる事態となった。
onslaughtはヒントで説明していた通り、「猛攻撃」という名詞です。これよりも、関連後のslaughterの方が知っておく必要がありますね。「(動物などを)屠殺する」という意味の動詞ですが、ナイフを使って残忍なやり方で人を殺す場合にも使われます。
Rebecca Richards, age 24, was found dead yesterday on her kitchen floor, slaughtered by an undentified suspect.「被害者は24歳のレベッカ・リチャーズさん。昨日、台所で刺殺体となって発見されました。犯人はまだ分かっていません」という感じニュースで流れます。
★(B-1) Luckily, the growing Blockchain movement has the potential / ありがたいことに、盛り上がっているブロックチェーンの動きは~な可能性を秘めている。
to reverse this (A-2) course of distrust. / この信用できないという機運を覆すという
下線部B-1は、Lで始まる接続詞を入れる問題でした。
最初の2つの文がウェブ上のセキュリティについて懸念していて、起承転結の「起」に当たります。そろそろ「承」になって本題に入るあたりですね。前の2文が心配な内容なのに比べ、第3文ではそういう状況がブロックチェーンで変わるかもしてないと言っていますので、正解はLuckilyです。
courseは日本語になっているコースと同じですが、「~という状況」という意味も持ちます。この意味に当たる下線部A-2の選択肢はstateですね。A-2のその他の選択肢は、こういう意味の名詞でした。
- visualisation「画像にすること」「ビジュアル化」。元の名詞はvisualize(イギリス英語ではvisualise)です。大元はvisual「ビジュアル」「目の」という形容詞から派生しています。
- strategy「戦略」。目的地にいかに効率よく着くかあらかじめ案を練るのがstrategyで、ちゃんと着くために取る戦術はtacticsです。必ずセットで覚えましょう。
- injection「注射」。これは医学部受験生は必須単語です。inject ~self with xxで「自ら好んでxxの中毒になる」という言い方もします。「注射する」という動詞はinjectです。
ちょっと発展して、「~に点滴する」はput ~ on a dripまたはgive ~ an IVといいます。IVはintravenous「静脈内の」の略です。intraは「~の中で」という意味を与える接続辞です。internetインターネットが世界に広がったネット環境を指すのに対し、intranetというと職場や家庭内だけの限られたスペースでのネット環境を指します。venousの元は「静脈」veinです。
★Blockchain has been gaining awareness / ブロックチェーンはここのところ注目を集めている。
(B-2) thanks to the support of major technology and financial institutions, / テクノロジーや金融系大企業のサポートのおかげで
but there is still a great (B-3) deal of misunderstanding / しかし今でも大きな誤解がある。
swirling* around the (A-3) term./ この言葉の周りには渦のように
ブロックチェーンはインターネット以来の大改革ですから、先行者利益を得ようとIBMやマイクロソフト、そして世界中の大銀行がこぞって開発競争をしています。企業もこれで株価が変わって来るので、必死です。
こうした企業が「xx社とブロックチェーン開発で提携」などとプレスリリースをするたびに、英字新聞は大見出しを出します。よって、ブロックチェーン関連の記事は見かけない日がないような盛況ぶりです。
下線部B-2ではこういう状況をthanks toで表現してあります。thanks to~とdue to~はどちらも「~により」という言い方ですが、thanks toの後は必ずありがたいことが来ます。一方、due toはもっとニュートラルな言い方です。悪いことが原因となる場合は、絶対にthanks toではなくdue toを使うようにしてください。
下線部B-3のdealは抽象的な名詞で、ここでは「量」という意味で使われています。別の単語を使うとすればamountやlevelです。misunderstanding「誤解」というのも概念を表す言い方で、数えられない名詞です。つまりmany misunderstandingとは言えません。では「大いに誤解がある」というのはどうするかというと、a great deal of misunderstandingという小難しい、賢そうな言い方になるわけです。
下線部A-3のtermは、実は第1文でも出ていますね。「言葉」という意味ですから正解はwordです。
他の選択肢はというと、
- letter「文字」。つまり言葉ではなくアルファベット1つずつを指します。よって不正解
- sentence「文章」。これも長すぎで不正解
- context「内容」。これも違います。
★Blockchain is an open, distributed ledger* / ビットコインといのはオープンで広く公開された台帳で
that seamlessly records transactions between two parties, / 両者間の取引を間断なく記録する
thus increasing trust in the transfer of assets. / こうして資産の移動に関する信頼を高めるものだ。
ここまで読んで、やっとブロックチェーンとは何かという説明が出て来ました。ブロックチェーンは、私が素人解釈するに、ウエブ上に全取引の記録を余さず残す技術です。しかもいったん書いたものが取引している両方に見えますので、改ざんが極めて難しいという特徴があります。
distributedはcentralizedの反対の意味で使われていて、中央で管理するのではなく取引をしているAさんとBさんがそれぞれ管理するという意味です。つまり、Aさんが払ったと言っているのに、Bさんが受け取っていないというような争いが、ブロックチェーンで皆無となるわけです。全取引記録がそっくり残っていますので、争う余地がないわけです。
seamlesslyは知っておいてもいい形容動詞です。ずっと延々と続けることを指します。constantlyやconsistentlyと似ていますが、これらが線的なイメージなのに対し、seamlesslyはより広く面で100%ずっと続くイメージです。
★Blockchain technology, / ブロックチェーンという技術は
most notably recognized for powering Bitcoin, / ビットコインをサポートする技術として一番よく知られているが
is on the (B-4) verge of becoming / ~になる瀬戸際にある。
one of 2017’s most transformational transactional applications./ 2017年で最も大化けするアプリとなる
ビットコインは仮想通貨です。ビットコイン取引業者にアカウントを開き、実際のお金をビットコインに両替してネット上で使います。ビットコインが使える小売店も世界中で増えていますし、株以上に1日の変動が激しいので投機目的でも使われています。
ブロックチェーンはもともと、このビットコインを支える技術として開発されました。powerが珍しく動詞扱いされていて、「~に力を与える」「~をサポートする」という意味で出ています。
most notablyの文は「,」で区切られています。これは挿入句を表し、大きな文脈の中での主語・述語とは別物ですから、読む際も引きずられないようにしてください。
下線部B-4のis on the verge of ~ingというのは、イディオムで「~する間際にいる」という言い方です。ほぼ書き言葉でしか使いませんが、その分高級感のある言い方です。話言葉ではis about to + 動詞の原型です。
長くなりましたので、また残りは明日書きます。
そうそう、センター試験の英語で満点を取る方法について、よくまとまった記事があったので貼ります。ポイントは時間配分と演習ですね。
医学部に入るには受験は避けて通れないので、覚悟を決めてどれだけ備えを固めるか。その差が結果になります。