医学部合格応援団◇息子のための英文法演習ブログ

ロンドン単身赴任の米国公認会計士が、息子のために医学部受験向けに英語を解説しています。

昭和大学医学部の予想問題 ─ アート系記事の解説 2/5

昭和大学医学部の予想問題、解説の2回目です。強奪されたゴッホの絵が戻った、というおめでたいニュースに関する長文でした。予想問題本文はこちらです。

medicpress-harada.hatenablog.com

では1文ずつ見ていきましょう。

★AMSTERDAM - “Some people are born teachers. /「ある者は、教師になるべく生まれつく。

Some people are born footballers. / サッカー選手になる運命のやつもいる。

I’m a born burglar.” / 俺の場合は、生まれつきの強盗なのさ」

 

いきなりのモノローグで始まるこの記事、語っているのは次の文で出る通り、オクタヴ・ダーハムという強盗です。

born to be ~は「~になるために生まれた」という意味です。Born to Be Wildという60年代のヒット曲は「ヤンチャに生きるために生まれたのさ」という意味ですね。書かれて半世紀近くたつのに、今でもCMなどでかかる名曲です。

Born to be wild - Bing

冒頭に大文字でAMSTERDMと入っているのは、アムステルダ支局の記事ということです。

 

★So says Octave Durham, / オクタヴ・ダーハムはそう言う。

who stole two priceless Vincent van Gogh*” paintings / この男はヴィンセント・ヴァン・ゴッホの作品を2つ盗んだのだが。

on the evening of Dec. 7, 2002./ 2002年12月7日の夜に

 

このSoというのは前のパラグラフにある、ダーハムのセリフを指します。日本語の「そう言う」と英語のsay soで、「そう」の部分が同じなのは、面白いですよね。

注意しないといけないのは、この文の語順です。Soが前にポンと出たため、それに引っ張られて動詞のsaysも前に出てしまいました。主語のダーハムは置いてけぼりですが、3単現のsはしっかり動詞sayについてます。

 

★More than 14 years / 14年以上前、

after he and an accomplice* clambered onto the roof of the Van Gogh Museum here, / ダーハムとその共犯はゴッホ美術館の屋根によじ登った後、

broke a window with a sledgehammer / 窓をかなづちで割り、

and lifted the canvases off the wall, / 壁からキャンバスを取り外した。

 

この文は、動詞が3つあります。どれか分かりますか?clamberedとbrokeとliftedですね。並列に書いてあります。clamberは見慣れない単語ですが、強盗が屋根で何をしているかという文脈から考えると意味は分かりますね。英検1級以上のレベルだそうです。

clamberの意味 - 英和辞典 Weblio辞書

Sledgehammerのような工具っぽい名前が出た場合は、単語の意味を辞書で引くより、画像検索をした方が記憶に残ります。

Sledgehammer - Bing images

 

★Mr. Durham has finally come clean about his involvement in / ダーハムはやっとin以下への自分の関与を認めた。

one of the most infamous postwar art heists*./ 戦後の強盗事件の中でも、最も悪名高いものの1つであるこの件への

 

一応刑期を終えて出所しているということで、New York Timesは強盗犯ダーハムにMr.をつけています。

通常、新聞では登場人物の名字を敬称略で書きます。ただしこの男のように怪しい人物の場合、距離を置いて親しみを感じさせないよう、わざとMr.をつけることがあります。日本のメディアと逆ですね。

このダーハム、「自分は生まれつきの強盗だ」などとうそぶく根っからの犯罪人です。私はこんな奴に付ける敬称は持っていないので、省きます。

 

下線部分は、同じ意味の文章を選べという問1でした。come clean about~で「~を白状する」というイディオムです。選択肢の意味は、以下のような感じです。

  1. Octave Durham cleaned van Gogh paintings which he damaged during burglary. オクタヴ・ダーハムは、自分が強盗中に傷つけたゴッホの絵をきれいにした。
  2. Octave Durham persistently kept on denying his role in the burglary. オクタヴ・ダーハムは、強盗に関わったことをかたくなに否定し続けた。
  3. Octave Durham maintained his innocence in relation to the burglary. オクタヴ・ダーハムは、この強盗事件では無実だと主張した。
  4. Octave Durham finally admitted that he stole van Gogh paintings 14 years ago. オクタヴ・ダーハムは、ゴッホの絵を14年前に盗んだことをようやく認めた。

内容的に選択肢4が正しいです。選択肢2と3は同じことを言っていますから、外れますね。形容詞1は、強盗中に絵に傷をつけたという一部のみ正しいです。

 

選択肢2と3で出た形容動詞persistentlyと動詞maintain、さらに言うと動詞insistは、どれも「しつこく~する」という意味です。まとめて覚えましょう。

maintainは前も紹介した通り、名詞「メンテナンス」に通じる「補修する」という意味が基本です。ただ、後ろに名詞をひっつけて「~を主張し続ける」という大事な意味もあります。

insistはinsist on ~ingで、「無理にでも~すると言い続ける」という使い方をします。

 

★He did so / 彼はそうした。

in a 45-minute documentary / 45分のドキュメンタリーの中で

that will show on Dutch television on Tuesday, / オランダのテレビで火曜日に放送予定の

the same day the museum plans to return the two canvases / これは、ゴッホ美術館が、2枚のキャンバスを~に戻す予定にしているのと同じ日なのだが

— recovered in September from the home of an Italian mobster’s mother — /(9月にイタリアマフィアの母親の家で回収された絵のことだ)

to public view ./ 一般公開に

 

またsoが出ました。ここでは、絵画強奪事件への関与を認めたことを指します。

―で挟まれた部分は、いつも言うことですが本筋にあまり関係のないただの修飾句ですので、読む時は自分でも( )に入れるなどして、文の継ぎ目が分かるようにしましょう。

 

★The confession has no legal impact for Mr. Durham, / この告白は、ダーハムにとって何の法的意味も持たない。

who was <A-1>convicted in 2004 /彼は2004年に有罪となり

and served just over 25 months in prison, / 25ヶ月少々を刑務所で過ごした。

but it sheds (     あ ) on the paintings’ tortuous* journey and ultimate rescue, / しかしこの告白は、盗まれた絵画が経験した痛ましい旅と、その最終的な救出、そして~に光明を与えるものである。

and on the intersection of art theft and organized crime./ 美術品強奪と組織犯罪の交わりについて

 

ちょっと長い文ですね。問3のA-1、be convictedは「有罪とされる」という法律用語です。be found guiltyが同じ意味です。無罪とされるのはbe found not guiltyです。

guiltyは発音注意です。guitarと同じでguiを「ギ」と発音します。いずれも、guideの「ガイ」とは違う発音です。

guilty - definition of guilty in English | Oxford Dictionaries

答えは選択肢1のfound guiltyです。ほかの選択肢は、以下のような意味でした。

  • tripped「転んだ」
  • declared innocent「罪がないと宣言した」
  • jailed「服役した」

後半部分で問2の空欄(あ)にはlightが入ります。Shed some light on~でon以下のものに「光明を与える」「解き明かす」という意味のイディオムです。 

 

intersectionはinter + sectionと分けて考えましょう。interというのは「交わる」という意味を与える接頭辞です。

Inter + netでネット上で交わる「インターネット」、inter + nationalで国同士が交わる「国際的な」という意味になるのと同じです。

つまり、分かれているはずのセクションが交わるので「交差」「交錯」という意味です。実際、交差点という意味でも使われます。

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私は今日、午後の便でポーランドから戻りました。イミグレで1時間近く待たされてぐったりです。待たされている間スマホでこのブログを開いてみて、あまりの字の小ささにびっくりしました。レーシック手術で深めに角膜を削った右目が、この2年ほど老眼気味なのです。

あと、前々から思っていましたが、1回分が長いねぇ。3分の2ぐらいの量にした方が、ポイントが絞れていいかも。ということで、今日から少し短めです。まだ長い?そうね。次回からもう少し短くします。