日大医学部の予想問題 ー 麻薬関連記事の解説 2/4
旅先なのでpcがなく、タブレットでは英文が打ちづらくて昨日は第1文で果てました。今日も残りわずかです。どこまで解説できるかヨーイドン!
日大医学部の予想問題はこちらです。
medicpress-harada.hatenablog.com
遅ればせながら中国がカルフェンタニルを禁止することにした、という第1文を受けて、第2文は以下のように続きます。区切りながら読みましょう。
★Beijing will ban it / 中国政府はそれを禁止する予定だ。
and three similar drugs / あと3種の似た麻薬とともに
as of March 1, / 3月1日付けで
China's Ministry of Public Security said Thursday, / 中国公安部は木曜日に発表した
closing a major regulatory loophole / このことは大きな抜け穴を防ぐことになる。
in the fight to end America's opioid epidemic.アメリカの麻薬蔓延を終わらせるための戦いにおける
Beijingは、北京の英語読みです。出典はAP通信の英語ニュースです。報道文ではよく、政府のある都市を主語にして「xx政府の発表によると」という言い方にします。例えばアメリカだとワシントン、オーストラリアだとキャンベラが主語になって、その国の政府発表を指すのです。ですからここでBeijingというと、中国政府という意味になります。
banは「禁じる」という意味の動詞です。制汗剤に同じ名前の商品がありますね。あれは「汗の臭いを禁じるぞ!」という決意表明でしょうか。
タイミングを表すas ofは、別の言い方をするともちろんonですね。ただ公式な文書ではas ofをよく使います。日本語でも「xx日付けで」「xx日をもって」という言い方は少し固いですね。
第3文も中国政府関係者の証言です。
★"It shows / そのことで、以下が分かる
China's attitude / 中国の態度が
as a responsible big country",/ 責任ある大国としての
said Yu Haibin, / と、ユー・ハイビン氏は言った。
the director of the Office of the National Narcotics Control Committee. / 中国麻薬統制委員会ディレクターの
中国としても、米国などに文句を言われる事態は避けたいのでしょうか。次の第4文のセリフも、ハイビン氏のものです。
★"It will be a strong deterrent." / それは強力な抑止力になるだろう。
deterrentという難しい単語を見たことのある方は、ごく少ないと思います。「~を遅らせる」「~を阻害する」という意味の動詞、deterの名詞形です。
問4は、下線部 a strong deterrent に近いを選ばせる問題でした。
In section 4, which of the following is most similar in meaning to “a strong deterrent”?
a. a powerful accelerator 強力な促進剤
b. a mild mediator 穏やかな緩和材
c. an effective preventive measure 効果的な予防的手段
d. a critical detective control 決定的に重要な発見的コントロール
文頭のItは、本文に直接出るわけではありませんが、カルフェンタニルを禁止するという中国政府の決意を指します。つまり意味からいうと、答えはcですね。
preventiveは何かが起こることを「予防する」「阻害する」という意味の動詞、preventの形容詞形です。先ほど似た意味でdeterが出ましたが、preventが完全に防ぐのに対し、deterは遅らせるという意味合いが強いです。
preventiveの対義語である形容詞、detectiveも選択肢dで出ています。「発見する」という動詞detectの形容詞形です。同じ綴りで、探偵や刑事という意味もあります。どちらも「発見する」人でしょう?
第5文も中国当局ハイビン氏の言葉です。
★He added that / 彼はthat以下のことも付け加えた。
China is considering other substances for sanction,/ 中国政府はその他の麻薬についても罰則を設けることを考慮していると
including U-47700, / U-47700を含めて
an opioid marketed as an alternative to banned fentanyls./ これは禁じられたフェンタニル類の代用品として売られている
sanctionは「処分」という意味の名詞です。マネーロンダリングの世界ではよくsanction screeningという言葉が出て来ますが、これはスクリーニングすることによって、警察のお世話になったようなsanctioned party「処罰されたことのある人物」を見つけるという意味です。
substanceという単語は、数回前に説明しましたね。 物質という意味の名詞です。麻薬撲滅運動はいたちごっこで、フェンタニルを禁止しても似た代用品が使われてしまうので、それもついでに禁止するそうです。
第6文は、中国という主語で始まります。
★China said / 中国当局は発表した
the March 1 ban will also apply to / 3月1日付けの禁止令はto以下にも適用される。
carfentanil's less-potent cousins / カルフェンタニルの効力の劣るいとこ(すなわち類似品)
furanyl fentanyl, acryl fentanyl and valeryl fentanyl.フラニル・フェンタニル、アクリル・フェンタニルやバレリー・フェンタニルなど
第6文のless potentは、問5になっていました。
Q5. In section 6, which of the following is most similar in meaning to “less-potent”?
似た言葉を選ばせる問題ですね
a. smaller より小さい
b. weaker より弱い
c. as effective as 同じくらい効果的な
d. stronger より強い
potentはポテンシャルpotentialにつながる言葉で、「強力な」という形容詞だと前に書きました。less potentというとそれにlessがついていますから、程度が低い、つまり効果が薄いわけです。麻薬としての強力さで言うと、きわめて強力なカルフェンタニルと、それよりは効果が薄いけれども類似品となるものがあるのですね。
よって正解はbのweakerです。
フラニル・フェンタニル、アクリル・フェンタニル、バレリー・フェンタニルなど 今後見ることもないような薬品の名前が続く文章ですが、こういうことにめげない精神力が大事です。日本語は外来語をそのままかたかな表記するという技を持ちますから、スルーして問題に取り組むようにしましょう。