長文読解問題 ─ 予防医学関連記事の解説後編
政府による規制緩和を受け、予防医学ビジネスが花咲きつつあるという記事でした。予想問題本文はこちらです。
medicpress-harada.hatenablog.com
選択肢はこうでした。Aが仲間はずれを選ぶ問題、Bが同義語を選ぶ問題、Cが空欄補充です。
A-1: related to [relating to, according to, concerning about, with regards to]
A-2: curb [maintain, restrain, keep in check, kerb]
A-3: thrive [take off, prevent, become popular, prosper]
A-4: burgeoning [flourishing, growing, aspiring, successful]
A-5: compiling [erasing, drafting, making, putting together]
B-1: gaining ground [stopping, getting popular, preventing, standing]
B-2: vigorously [strangely, strenuously, surprisingly, suspiciously]
B-3: backdrop [background, scenery, prevention, feeling]
B-4: enactment [stopping, checking, passing, collecting]
B-5: instance [fulfilment, your sake, which, example]
C-1: [at, on, to, from]
C-2: [efficiency, effect, epidemic, effectiveness]
C-3: [In future, Currently, Previously, Meanwhile]
C-4: [therefore, thus, however, accordingly]
C-5: [coordination, corporation, cooperation, consolidation]
★Major suppliers of daily commodities / 消費財の大企業である
such as Lion Corp. and Sunstar Inc. / ライオンやサンスターは
see this / これをas以下と見ている。
as a business opportunity, / ビジネスの好機だと
and have started providing various preventive medicine-related services. / そして、さまざまな予防医学関連サービスをすでに開始した。
前回の文脈から、「これ」とは規制緩和を指します。
名詞commodityは子音+yで終わるので、複数形になる際にyがiに変わってesがついています。ここでは耐久財の反対語としての「消費財」という意味で使っていますが、マーケット用語でcommodityを使う場合は金や鉄鉱石などいわゆる「商品」という意味になります。商品先物などという時の「商品」ですね。
opportunityは、日本語でいう「チャンス」「好機」です。英語でchanceというと、イディオムby chance「偶然に」で使うように、好機というより「たまたま」という意味合いが強いですので注意しましょう。
好機を言う場合はopportunityまたはluckです。この2つの違いを挙げるなら、opportunityは環境や人から与えられた好機、luckは天から与えられた幸運という感じです。
基本の基本ですが、動詞provideはprovide A to Bで、「BにAを提供する」という言い方です。provideする人はproviderですね。サービス企業一般をservice providerと呼ぶこともあります。サービスを提供することを生業としているからです。
★These companies will need to prove to consumers / こうした企業は消費者に対し~を証明する必要がある。
the (C-2) effectiveness of their services / 自分たちのサービスの有効性を
if their businesses are to (A-3) thrive. もしビジネスを発展させたい場合は
prove A to Bで「Bに対しAを証明する」という言い方です。名詞は「証拠」という意味のproofですね。「証拠」には他にevidenceという言い方もありますので、一緒に覚えてください。
下線部C-2はよく似た名詞efficiency, effect, epidemic, effectivenessから選ぶのでした。efficiencyは「効率」、effectは「効果」、epidemicは「感染症」ですから、答えはeffectivenessです。
- 正しいことをやる = Do the right thing.= effective
- 正しくやる = Do it right.= efficient
この2つは混同してしまう人が多いので、気をつけましょう。
下線部A-3 のthriveは前回説明しました。「栄える」という動詞です。選択肢take off、prevent、become popular、prosperの中では「予防する」という意味のpreventが仲間はずれです。予防医学preventive medicineでは、この動詞が形容詞preventiveになって出ていますね。
is to thriveでto不定詞の形ですが、ここでは「将来的にビジネスを発展させるつもりなら」という未来形の意味です。
★The government’s easing of regulations provides the (B-3) backdrop / 政府が規制を緩和しているのは、to以下を後押ししている。
to the (A-4) burgeoning preventive medicine-related industry. / 新しい未熟な医学関連産業に
下線部B-3のbackdropはbackgroundと同じ「背景」という意味です。他の選択肢はそれぞれ名詞でscenery「景色」, prevention「予防」, feeling「感情」です。
ここでもprovide A to Bの構文が出てきましたね。backdropをprovideしていると言っていますが、背景を提供するというのは日本語でいまいちですので「後押しする」と意訳しました。
下線部A-4のburgeoningは、前にテクノロジー関連の長文でも出てきました。動詞burgeon「新芽が出る」にing がついて現在分詞になったものです。
http://medicpress-harada.hatenablog.com/entry/2017/03/18/医学部予想問題_ー_テクノロジー関連の長文
「新進の」という意味ですから、選択肢flourishing, fast-growing, aspiring, successfulの中では、「すでに成功している」という意味のsuccessfulだけ意味が違います。
- burgeoning
- flourishing
- growing
- aspiring
はどれも似た意味で、これから頑張って伸びるイメージですね。aspiring artistで「新進芸術家」です。新聞の芸術面などでよく見かける表現です。
primitiveは「原始的な」「未開の」という意味の形容詞で、反義語はadvancedやdevelopedです。けっこうきつい意味で差別語ととられ兼ねないため、使う時は注意してください。
★(C-3) Previously, regulations based on the Medical Practitioners’ Law made it difficult / 以前は、医師免許を基盤とした規制が~を難しくしていた。
for private enterprises to enter the market. / 一般企業がこの市場に入るのを
Cは空欄補充です。下線部C-3で始まる文は、動詞がmadeと過去形です。これ1点から、選択肢の中では「過去には」という意味のpreviouslyが良いという結論に辿り着けます。
他の選択肢はそれぞれ、in future「将来的に」、currently「現在は」、meanwhile「今のところは」です。
★With the (B-4) enactment of the Industrial Competitiveness Enhancement Law in 2014, / 2014年の産業競争力強化法の制定とともに
(C-4) however, しかしながら、
companies are now allowed to sell,/ 企業は今、~を売ることが許されている。
for (B-5) instance, blood test kits./ 例えば血液検査キットなどを
規制緩和前は医療関連ビジネスをするには医師免許が必要だったので、一般企業は参入しにくかったのが、今では2014年の法改正とともに変わったという趣旨の文です。よって下線部C-4は、前に言ったことを否定するhoweverが入ります。日本語と語順が違って、howeverは文と文の間に入ることが多いです。
その他の選択肢はいずれも接続詞で、「よって」「これを受け」のような肯定の意味です。
- therefore
- thus
- accordingly
書き換え問題もありえるので、まとめて覚えておきましょう。
下線部B-4のenactmentは、法律law, actや法令legislationと同じ文で出てくる「制定」という意味です。
下線部B-5はボーナス問題です。文脈から言って「例えば」という意味だというのは容易に分かりますから、for exampleまたはfor instanceが答えで、選択肢にあるのはinstanceなのでそれが正解です。
★The Economy, Trade and Industry Ministry, / 経済産業省は
in (C-5) cooperation with companies and other entities, / 企業その他の団体の協力のもと
is currently (A-5) compiling standards / 現在基準をまとめようとしている。
to certify the quality of health tourism programs./ 健康ツアープログラムの質を確保するため
しつこくまた出ました、カンマ「, 」で修飾語を挿入する構文です。主語は英語でMITIとも呼ばれる経済産業省、述語はis currently compilingです。
いきなり健康ツアーの話が出て驚かれたかもしれませんが、これは中略した箇所に外国人観光客向けに熊野古道を歩く健康ツアーなどの話があったからです。確かに予防医学の皮をかぶって「滝のマイナスイオンで健康に」とかいうツアーが出回ると怪しいですよね。お上としては、問題になる前に基準を定めてある程度の規制はしておきたいとこでしょう。
下線部C-5は、文脈から言って「~と協力して」という意味だろうとすぐ分かりますが、迷うのは選択肢です。そっくりさんの名詞を1つずつ見ていくと、以下のような意味です。
- coordination 「調整」「コーディネーション」
- corporation「企業」。既出のcompanyと同じだが、もう少し立派な企業のイメージ
- cooperation「協力」。corporationとたった2文字しか違いません。紛らわしい!coで「一緒に」という意味、かつoperationで「作業」という意味ですから、足して「協働作業」みたいな意味となります。生協がCO-OPというのもこの単語からです。人によってはハイフンを入れてco-operationと書く人もいます。
- consolidation「合併」「合算」「連結決算」
どれもかなり頻繁に出る単語です。それぞれを、自力で書けるようにしておきましょう。
下線部A-5のcompileもよく出ます。動詞で「書類を取りまとめる」という意味で、文脈によって例えばdraft, write, put together, makeなどの動詞を入れ替えが可能です。選択肢にも、drafting、 making、 putting togetherを入れておきました。唯一eraseが「消す」という動詞で、これが仲間はずれです。
★The ministry aims to make them available / 同省は、これらの基準を~までに公表することを目指している。
by the end of March./ 3月末までに
“[The health tourism industry] needs to gain a high degree of trust / 「(健康ツアー産業は)高いレベルの信頼を得る必要がある
from customers,” / 顧客からの」と
an industry insider said. / ある業界関係者は言った。
いっぱい書きました!ここまで読んだあなたは、忍耐力があります。それは今後の人生できっと糧となるでしょう。
もし、全体を読む前にざっと長さを確認した人がいたら、それはさらに素晴らしいことです。自分が何にどれだけ時間を割くのか大体を把握する習慣は、一生の役に立ちますよ。