センター予想問題 — 問3Bの解説 2/3・英国のEU離脱
2つ目の例題は、時事問題風にしてみました。イギリスのEU離脱についてです。選択肢①〜④のうち文脈から外れた文章を探す問題は、細かい文法を知らなくても解けるので失点したくないですね。
予想問題本文はこちらです。
medicpress-harada.hatenablog.com
★In mid 2016, / 2016年半ば
Brexit came as such a huge surprise / 英国のEU離脱は大きなショックを与えた。(~ came as a surpriseは「~には驚かされた」というイディオムです。came as a shockでもいいです)
as no one / なぜなら誰も
including the main stream media / マスコミも含め
did not believe that / that以下のようなことになるとは思っていなかったから。
British people would actually choose / 英国民が実際に選択するとは
to leave the EU. / EUを離れるという
★①Why would you want to leave the market / どうして市場を離脱したいなどと思うだろうか(もちろんそんなことは思わない、という反語の言い方です)
with 500 million people / 5億人も消費者がいて
which would allow tax-free trades? / 関税なしで貿易ができる
★②The point / ポイントは
commentators and scholars did not realize / 評論家や学者が理解しなかった(ポイントは、と上のThe pointを修飾する句。前にwhichが省略されています)
was the degree of anger and frustrations / 怒りと焦燥の度合いだ。
accumulated among common people./ 一般市民の間に蓄積した(commonは「一般的な」という意味の形容詞ですが、peopleとセットで使うと貴族ではない平民という意味合いが強く出ます。イギリスは階級社会なので、royals「王族」、aristocrats「貴族」、upper class「上流階級」、common people「平民」の区別がくっきり分かれており、話す言葉も住む場所も違います)
★③They felt that / 彼らは~と感じた(このTheyは、もちろんイギリスの一般市民を指します)
they benefited from prosperity / 繁栄を享受したと
global economy was supposed to provide./ グローバル化する経済がもたらすとされている (is supposed to~は「~とされている」という言い方です。たいていは過去形で「~するはずだった(でもしなかった)」というケースで使われます。例・Where is my blue shirt? You were supposed to pick it up from the laundry.は「俺の青いシャツは?クリーニングから取ってくることになってたじゃないか」)
★British companies / 英国系企業は
doing business in the continent / 大陸でビジネスをしている(上の句を修飾しています。ここでもwhichが省略されています。大陸とは、ヨーロッパ大陸を指します。特定の大陸だからthe continentとtheが冠詞についています)
did profit from the benefits of the membership, / EUに参加していることで利益を受けた。
or the passport, as they call it. / またはいわゆる「EUパスポート」の(as they call itはよく使われるイディオムで「いわゆる」という意味です)
★④On the other hand, / 一方で
profits those companies made / 英国企業の利益は
largely stayed within themselves / その大半が内部留保された。
or in the hands of their rich shareholders, / または富裕層の株主の手にとどまった。
without being fairly distributed / 公平に分配されることなく
to dedicated employees / まじめに働く労働者たちに
who run daily operations./ 日々の会社の運営を行う
(EUの旗からイギリスが落ちてしまいました…)
全訳するとよく分かりますね。全体の論調は、経済のグローバル化に乗り遅れた労働者の怒りで英国がEU離脱ことになったと言っています。一方で選択肢③は、こうした労働者がグローバル経済の恩恵を受けたと言っていますので、完全な誤りです。
アベノミクスと言われる株価上昇が、株券を持つような富裕層にしか恩恵をもたらさなかったのと同様に、アメリカでもイギリスでも貧富の差は広がる一方です。為政者は一般市民を甘く見ていいようにしていますが、いったんキレると大変です。一般市民の方が、富裕層の何百倍もいますから。彼らが本気で怒って投票に行くと、昨年のEU離脱やトランプ大統領登場のようなとんでもな選挙結果になり得る、という教訓ですね。
トランプ大統領に関する長文読解問題はこちらです。
medicpress-harada.hatenablog.com
相当な難問ですから、少し難易度を下げたバージョンもあります。
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